代表取締役社長 斉藤浩史

代表取締役 社長
斉藤 浩史 Hiroshi Saito

社長の思い

妥協のないプロの世界へ

社長として私の経歴はちょっと異色かもしれません。というのも実はプロのサッカー選手でした。

18歳で読売サッカークラブ(現東京ヴェルディ)のユースから、当時すでにプロ化していた1軍の選手として契約を交わしました。まだJリーグ開幕前でしたが、オリンピック代表候補として国際親善試合に出場していたのもこの頃です。当時は、三浦知良選手やラモス瑠偉選手らが同僚でした。
プロスポーツの世界は結果が全てです。自ら考え、判断し、果敢に挑戦して結果を出して行かなくてはなりません。そこは妥協も甘えも許されない世界です。なぜなら、たった一度の失敗が致命的なことにもなり得るからです。

Jリーグ開幕の前年に、どうしてもプロ選手としてブラジルに挑戦したい、という自分の強い意志でブラジルの1部リーグチームに移籍しました。さらに厳しい世界にあえて飛び込んだのです。そこで試合を見ていたエメルソン・レオン氏(後の清水エスパルスの監督)の目に留まり、Jリーグの清水エスパルスに入団することになりました。

致命的な大怪我、そしてブラジルに再挑戦

ある試合中に、私はサッカー選手として致命的な怪我をしてしまいました。足の骨が飛び出すほどの大怪我で、すぐに救急車で病院に運ばれ、緊急手術を行いました。監督も、私がもうサッカーをすることはできないだろうと思っていたそうです。しかし、私はサッカーを諦めませんでした。懸命のリハビリで、なんとか地方リーグで活躍できるまでになりました。

試合に出られるようになると『本当に立ち直ったのだろうか?もう一度ブラジルで自分を試してみたい』という私の挑戦魂が再びうずいてきました。ブラジルへの再挑戦です。そして以前在籍していたブラジルのプロチームに戻り、1年余りプレーをしました。

プロとして世界に挑戦し、学んだふたつのこと

18歳でプロの世界に身を投じ、本場ブラジルの厳しい世界に2度挑戦しました。いま思い起こすと、この時期に多くのことを学び、身につけてきたように感じます。中でも、現在の自分の信念に近いものをふたつ、育んでくれたと思います。

ひとつは、あくなき挑戦心です。プロスポーツの世界では、挑戦し結果を出すことが全てでした。そしてその結果に対して自ら考え、行動し、次の結果にすることではじめて、自分の進化を実感することができました。

もうひとつは、国籍や人種に偏見のないグローバルな素肌感覚です。特にブラジルではチームメイトがどこの国籍、人種であろうと関係ありません。むしろ遠慮なしにアピールすることが要求されます。そんな中にも厳しい練習や試合を通じて、勝利を分ち合い、友情も生まれ、信頼関係を多くの人と結ぶことができました。これは真剣だったからこそ得られたグローバルスピリットだと思います。

ビジネスで世界に挑戦

現役時代は、選手を辞めても何かしらの形でサッカーに携わる仕事をしたい、とおぼろげながら考えていました。しかし協同に入社すると決めた瞬間、3年間サッカーはおろかボールにも絶対に触らないと心に誓いました。後ろを振り向かず、真剣にビジネスの世界に没頭したかったのです。

私のゼロからの出発は、言葉も分からない台湾でした。当時協同は、日本よりも生産コストの安い台湾で日本向けの部品生産をはじめていました。そこではスピーディにビジネスを推し進める事が要求されていたはずですが、重要なことは全て現場以外でのコンセンサスが必須です。
しかし、当時社長であった父はアメリカの現地法人の立ち上げで多忙を極めており、素早い判断が困難な状況でした。まだ何もわからない中にも、私は不思議と組織や日系企業の不合理さを感じとっていました。たぶん、自分がそれまで置かれていたプロの環境とは違った日本人の甘さや曖昧さを肌で感じていたのでしょう。

ひと通り仕事のことを理解してからは、台湾の生産現場だけではなく、自ら海外のマーケットに営業を仕掛け、選手時代のボーダレスな感覚で世界への挑戦をはじめました。まずは世界から世界へと挑戦するために、タイの現地法人をひとりで交渉しながら立ち上げました。通常は弁護士やエージェントに依頼することまで、自身で直接現地関係者と交渉しました。そうすることで相手の要望することが明確になり、次の工場や現地法人をセットアップする際の手順や、投資規模まである程度フォーマット化できると考えました。協同が新しい現地法人や工場を作る際のロールモデルとしたかったのです。

今後は小さな規模からスピーディに投資判断をして、私以外の誰でも現地へ赴いて拠点を構えることが可能だと思います。タイの現地法人も東南アジアをマーケットとするグローバルな体制になっていますが、そこには私が思い描いたボーダレスで、現地のコミュニティに受け入れられるグローバル企業であるべきだという思いが具現化しています。

現在協同グループは、アメリカ、ブラジル、そして中国、ヨーロッパと生産・調達・販売・提携と相互のメリットを活かしながらグローバルなネットワークを構築しています。その中で工業用生産部品の製造だけでなく、自社製品を中心とした完成品への挑戦や最先端技術を応用したロボット製品の共同開発など、どんどん新しい分野に挑戦しています。

これからも既存の分野や技術にとらわれない若い人材の活躍と挑戦を社長として応援していきたいと思います。若い世代の挑戦への応援が私の次の挑戦です。